人生・・・決して不真面目に生きてきたつもりはないのですが、つくづく自分は不用意に歳を重ねてきたものだと思います。
今は昔、新卒で初任給を手にした時は素直に謙虚にうれしくて、
「これから、こうやって自力で生きていくんだ!」
という期待と覚悟で武者震いを覚えました。
でも、長い人生設計なんて真剣に考えてなかったです。
日本には年金制度があるから、言われるままに(引かれるままに)保険料を払っていけば、おばあちゃんになって働かなくなっても、生活するためのお金がもらえるらしい。
年金制度の内容もよく知らないくせに、いずれもらう気だけは満々でした。
思えばそんな能天気で無知な若気の至りが、若くもないつい最近まで続いていたことに苦笑いです。
無知なままでも歳はとります。
そうして私も、年金をいただける年齢になるのです。
ここ1.2年はさまざまな手続き書類や通知が届くようになり、「年金」が急に現実味を帯びてきて、さすがに
「”知らない分からない”私は、これで大丈夫なのか⁉」
と、落ち着かなくなりました。
今回、なんとか無事(?)に初めての老齢年金を受け取って、やっと年金の仕組みがわかり始めてきたところです。
いえ、何が分からないのかがようやく見えてきたと言うべきでしょうか。
正直なところ、私的には、すでに”あとの祭り”というお恥ずかしい話にもなるのですが、
年金受給は全ての人が通る道!
今、関心をもってこの記事に目をとめてくださった方のお役に立てば幸いです。
公的年金制度のおさらい
日本の公的年金制度は、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建て構造だと言われます。
土台となる1階部分の国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての国民が加入し保険料を支払わなくてはなりません。
さらに、会社員や公務員の人は厚生年金にも加入し保険料を支払うことで、将来受け取る年金が上乗せされます。
このことを2階部分ととらえるわけです。
また、受け取る公的年金の種類はその対象となる人によって、
老後にもらえる「老齢年金」
障害が残った場合にもらえる「障害年金」
遺族がもらえる「遺族年金」
があり、例えば「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」というように合わせて受け取ることになります。
国民年金の満額
国民年金(基礎年金)は、全ての人が20歳から60歳までの40年間保険料を支払うことによって受け取れるものですので、
12か月×40年間=480か月
保険料を滞りなく納めていれば、基礎年金として受け取る時には規定された満額が給付されます。
この給付額というのは、原則として毎年見直され、
令和6年度の老齢基礎年金の満額は、816,000円となっています。
”満額”・・・なんと甘美な響きでしょう。
少しも取りこぼすことなく準備された最大限のものをちゃっかり手に入れる・・・
ところが今になって、私はうっかり”満額”との縁を失っていたことを思い知るのです。
つまり、国民年金保険料の納付月数が480か月に達していなかったということです。
満額にならない理由
国民年金が満額にならない主な理由には、次のようなものがあります。
・学生時代に、国民年金保険料を払ってなかった
私の場合はまさにこれです。
学生の身分では、当時で毎月5千円前後もの保険料を積極的に払おうと考えることもなく、こうした未納期間を抱える人はけっこう多いかもしれません。
・手続き上の遅れや不備で、国民年金保険料を払っていない期間があった
会社員やパートとして厚生年金に加入していた人が退職後、国民年金への加入手続きが遅れて保険料を払えなかった
厚生年金に加入する配偶者に扶養されていた人(国民年金第3号被保険者)が、その配偶者が退職または65歳になった時に手続きをせず、自身の国民年金保険料を払わなかった
…などなど
第1号から第3号までの国民年金被保険者区分が切り替わった場合には、保険料の未納期間が発生していないか注意が必要です。
・65歳前に老齢基礎年金を繰り上げ受給した
原則65歳から受け取れる老齢年金は60歳~65歳の間に前倒しで受け取ることもできますが、その請求をした時点に応じて年金が減額されます。
満額に近づける対策
上の理由のうち、繰り上げ受給の場合を除いては、少しでも満額に近づける対策があります。
・60歳~65歳の間、国民年金に任意加入して保険料を支払う
60歳以降も65歳までなら任意加入で国民年金保険料(令和6年度は月額 16,980円 )を支払うことができます。そして納付月数が480か月に達したら任意加入を終了します。
・免除、猶予されていた国民年金保険料を追納する
学生であることや経済的な事情から、申請によって保険料の納付を免除・猶予されていた場合は、10年以内を遡って追納することができます。
・滞納していた国民年金保険料を2年以内に支払う
申請なしにそのまま滞納になっていた国民年金保険料は、納付期限(翌月末日)から2年以内であれば納めることができます。
結局、480か月という国民年金保険料の納付月数こそがポイントです。
「達していない⁉︎」と気づいた時点で、できるだけ早く対処すべきでしょう。
未納分の月数を取り戻すチャンスやタイミングは何度かあるようですが、保険料は毎年見直され原則として上がっていくわけで、支払い額は増えていくことになるからです。
あとがき
学生時代には「保険料なんてまだ払えないし、払う必要もないでしょ」と、考えていました。
就職して未納分の追納を勧められた時も「今、そんな余裕はないよ」と思ったばかりか、
「べつに年金が満額じゃなくても、支払えた保険料に応じて将来もらえるなら、それでいいんじゃない」
という傲慢な判断をしました。
そして、年金を頼りに人生の後半戦を生き抜かねばならない今になって、事の重大さと自分の思慮の浅さに気づくのです。
「見てもなんかよくわからん」と、うっちゃっていた年金定期便にもちゃんと関心をもって、内容を理解する努力をすべきでした。
少なくとも、今回得た知識に5年前に出会っていたら、きっと私は60歳以降も国民年金に任意加入して、基礎年金の満額受給を目指していたことでしょう。
幸い当時からまだ細々と、保険料支払いに充てられるほどの収入を得るための働き方もできていますから。
実際に年金を手にするようになっても、それだけで悠々と生きていけるわけではない今後のことを考えると、無知なまま歳を重ねてしまった不用意な自分にはがっかりです。
けれど、これも潔く受け入れるべき自業自得というものでしょう。
せめて、自ら求めて物事を理解すること、工夫すること、そしてそれらのことを誰かに伝えられるのが、いくつになっても大切なことなのだ、と自分に言い聞かせて、
私と同じような悔しさを味わわれる方が、お一人でも少ないことを祈ります。
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