大学受験《君だけの志望理由書の書き方》—二つの書く意義と三つの書くべきこと

頑張る君へ

受験の際に大学から求められる志望理由書。

私は、受験生たちが手探りで書き始めた文章を添削したり、志望理由書として仕上げていくための相談に乗ったりしてきました。

その際、特に心掛けたのは、本人が書きたい、書こうとする事柄をくみ取って、その人にしか書けない独自性のある誠実な志望理由書にすることです。

間違ったことは書いていなくても、誰もが書くような内容、みんな同じような文章表現では、やっぱりつまらないではないですか。

「何をどう書けばいいのかわかりません。」と匙を投げようとする人にも、「その大学学部に入りたい君の理由をとにかく文章に書いてみよう。いきなり完成品は生まれないから、まずはたたき台を準備しましょう。」と、書いてもらうことにしています。

すると、その立派な(⁉)たたき台の中に、その人ならではと思えるような経験や考え、文章表現などが現れることがあります。

そして、それは志望理由の根拠、きっかけに関わるものである場合が多いのです。

私自身のこの経験により、これから君だけの志望理由書を書こうとする受験生の皆さんには、これを書くことの二つの意義を踏まえたうえで、書くべきことを三つに絞って紹介します。

志望理由書を書くことの意義

  1. 受験生の主体性・問題意識・意欲・人柄などを、大学にアピールする
  2. 大学に関する情報収集や自己分析を通じて、受験生自身が受験に対する心構えをより具体的で強固なものにする

志望理由書を書くことは、受験生にとって、自らの主体性・問題意識・意欲・人柄などを、大学にアピールするという意義を持ちます。

そして、書くという行為のためには、志望の対象である大学の情報収集や、受験生としての自己分析が必要となり、書き手自身が受験に対する心構えをより具体的で強固なものにすることができるという意義も生じます。

何のために書くのかと考えれば、まず前者の意義が明白に浮かびますが、実は後者の意義を満たすことこそが重要です。

なぜなら、志望する大学への理解や期待が高まり、受験に対するモチベーションや覚悟が強化されることで、より力強い魅力的な自己アピールが可能となるからです。

さらに、このことは、この志望理由書を参考にして行われるであろう面接試験への対策としても生きてくることでしょう。

書くべき三つの内容と構成

大学受験で求められる志望理由書は、800~1000字程度、形式もほぼ自由なものが多いようです。

もちろん、志望する理由について書かれていれば、その内容や書く順序・構成などにきまりや正解があるわけではありません。

ただ、原稿用紙2枚くらい…という量を考えると、できるだけシンプルな構成で要点をわかりやすく伝えることが必要です。

しかも、君だけの志望理由として独自性のある印象的な文章にまとめたいものです。

ここでは、一例として、時系列に沿って内容を三つに絞った書き方を紹介します。

1.過去から現在に至る自分について

まず、必ず書かなければならないのが、現在自分は何に関心があって、どんな問題意識や目標をもっているのかということです。

そして、少し時間をさかのぼって、現在のような考えを持つことになったきっかけやいきさつを、ぜひ経験として書き加えましょう。

つまり、自分だけのどのような経験を出発点として、現在の志望動機に至っているかを明確にすることが、志望理由書としての独自性の一つとなるのです。

田舎で一人暮らしだった祖母が病気で入院していた時、私たちが見舞いに行くたびに彼女は「家に帰りたい」と言った。家にいるよりも目の行き届く病院で十分な看護を受けていたはずなのに 、祖母が亡くなった時には、私は「どうしてあげるのが一番良かったのだろう?」といういたたまれない気持ちになった。社会の高齢化の影響は、地域医療や在宅医療などの問題として医療現場にも及んでいる。幼い頃から、私は病気やけがで苦しむ人を助ける医師に憧れていたが、今改めて、常に患者さんのそばにありながら、こうした問題の解決に貢献できる医師を目指したいと思うようになった。

2.志望する大学学部で成長・進化していく、近い将来の自分について

次にするべきことは、志望する大学と自分とのすり合わせです。

大学と自分との間の接点を明らかにします。

なぜその大学・学部でないといけないのか。

自分が目標とするところに向けて成長・進化していくために、大学でどのようなことがしたいのか

その大学が特色とする取り組みや環境が、自分にとっていかに望ましい魅力的なものであるか

・・・等々を述べます。

そこで情報収集が必要となります。

大学のパンフレット、ホームページ、オープンキャンパス等を利用して、講義やカリキュラム、教授や研究室の活動の様子を知れば、きっと興味深いものが見つかるでしょう。

そういう具体的な特色に言及することは、「ぜひここで学びたい!」という意気込みのアピールにもつながります。

3.卒業後、将来の展望について

受験生である君は、まず現在の関心事と目標などによって自己紹介をし、志望する大学の魅力を理解した上で、いかに自分がそこで学ぶにふさわしいかをアピールしてきました。

自分の夢や向上心を満たしてくれる場として、その大学・学部を選んだということを熱く語ってきたはずです。

最後は、大学で現在の意気込みどおり、約束どおりに自分自身を鍛え上げ、大学卒業後には、どんな人間になって何をしたいのか、どのように社会に貢献していくつもりなのか、など将来への展望・覚悟についても触れておきましょう。

こうして、自分の将来について真剣に考え具体的な進路を思い描く上で、大学選択という重大な決断を下した結果の志望理由である、ということを伝えるわけです。

君が認められ期待されるにふさわしい受験生であることをアピールする、君だけの志望理由書は、読み終わった瞬間に希望に満ちた清々しい印象を残すものでありたいと思いませんか?

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